「なんか、あったのか?」
俺がそう言うと、
驚いた顔でこっちをみた。
「え! いや、別になんもないよ」
そう言って美鈴が笑うから、その後は何も聞かなかった。
晴も一貴もさっさと帰っちまったから、俺は美鈴と2人でトボトボ帰った。
いろんな話を聞いた。
初めて俺と美鈴が会った日。
俺のバイト先のコンビニは美鈴のよく行く病院に近いらしく、帰りはよく寄って行くらしい。
「病院て…どこか悪いのか?」
「違う違う! だだの風邪よ」
と、言っていた。
もう大丈夫なのか?
隣には子供みたいに
口を動かす美鈴。
元気そうだな…。
なんて思っていると、
「ちょっとお! 人の話聞いてる?」
と、不意をつかれてしまった。
「聞いてる聞いてる」
「嘘つけぇ」
疑いの目が横から
ビームの様に刺さってくる。
「もっかい、お願いします」
俺が折れると、
「しょうがないなぁ、ちゃんと聞いててよ?」
お母さんが子供を
叱っているようだった。