晴と一貴が美鈴の病室に入る。
「美鈴ちゃん!」
入った途端美鈴に抱きつく晴。
一貴はそれを黙って見ていた。
そして、ドアのすぐ側にいた俺に笑顔を向ける美鈴。
そして、俺も美鈴に小さく笑いかけ病室のドアを閉めた。
俺は病室には入らない。
美鈴が話にくいだろうし、
晴も一貴も泣きにくいだろうし、
なにしろ、俺が聞きたくない。
ふと、隣に目をやるとさっきの女の子がいた。
俺の視線に気付き頭を下げる女の子。
「初めまして、高村 乃々葉[タカムラ ノノハ]と言います。中学2年生で、美鈴ちゃんの隣の病室です」
うわ…すげぇ礼儀正しいのな。
そして、彼女は頭を上げて最後にこう言った。
「あたしのことは乃々でいいです。仲良くして下さいね、美鈴ちゃんの彼氏さん」
………うん、知ってんだね。