晴と一貴は人の分までやっていたのにボーリング代は4人で割り勘だった。

ちゃっかりしてんな。

すると、晴と一貴は用があると言い、顔をニヤつかせながら俺と美鈴に手を振り帰って行った。


嵐の様に現れて、嵐の様に去っていくとは、こう言うことか。


隣を見ると、
美鈴がボーッと空を見ていた。


「何してんの?」


俺の問に、美鈴は空を見たまま答えた。

「空って凄いよね」


何が?


「空っていつも違うでしょ? 色とか雲の形とか流れる速さとかさっ! 雲一つない真っ青な空の日だって空の色の濃さとか違うでしょ?」


そう言われて、
俺も空を見た。


「オレンジ色…」


空は夕日でオレンジ色に染まっていた。


「そう、空だって青とは限らない」


どこか力のない声。

横目で美鈴を見ると、
涙は流れていないのに、
俺には泣いてる様に見えた。