美鈴はうつむきながら
話を続ける。



「あたしも、女だから、さ。死ぬ時くらい、綺麗でいたいんだよね…副作用で髪が抜けたりするのがね、嫌なんだ」



「近かれ遠かれ、あたしは必ず死ぬ。残されたこれからの日々を治療で苦しみたくないんだよ。もうあんな思いはごめんなんだよ、ね」




再発した、癌。
治療の苦しみを一番知っている美鈴が出した答え。



俺は何も言えず
ただ、泣くだけだった。




「あたし、病気のことも全部受け入れてる。死ぬ覚悟も出来てるの…」




はっきりとそう言った美鈴は、とても綺麗に見えた。


なぜだろう。