俺は直輝の右足のスネを
思いっきり蹴った。
「いっで!何すんだてめっ…」
すると、直輝は俺の顔を見て、デコピンをしてきた。
「いだっ!」
「ばーか。なんちゅう顔してんだよ。美鈴ちゃんに会うんだろ?」
なんちゅう顔って…
「俺、どんな顔してる?」
そう言って、直輝の目をじっと見る。
「傘を持って来たのに、雨が降らなくて、傘を持ってないときに台風直撃のむっさ冴えない可哀想なおっさんの目」
「…あ、そ」
こいつふざけてやがる。
まともな返事をする気にすらならなかった。
「怒った?めんごめんご!でもさ、本当…」
「死んだ魚の目」