直輝は少し複雑な顔をする。



「わりぃ…本当はもっと早く言うべきだったよな」



「まぁ、昨日はビビったけど…話は分かったし、なるほどって感じだ」




そう言うと直輝は
俺の顔を覗き込んだ。



「本当にビビっただけだったか? それとも真冬ちゃんを越えるくらいのことでもあったのか?」





「…いや、腰抜けた…けど、」



あの時、もし美鈴が来てくれなかったら、俺はどうしていたんだろう。


頭の中で昔のことばかり
流れて、自分じゃどうにもならなかったと思う。



「けど?」



けど、今は真冬のことがちっぽけに思えるくらいに、




美鈴でいっぱいなんだ。

死なないでほしい。
ただ、それだけの感情しか
元々持っていなかったかのように…