俺、何傷ついてんだよ。
今から美鈴に会うのに
情けねぇ顔すんなよ。
302号室の前で
足が止まった。
このドアを開ければ
美鈴に会えるのに…
ドアが重く感じた。
『西棟はね、重病患者が入院する所なのよ』
「やめろ…」
美鈴を"重病患者"とか言うな。
俺はゆっくりとドアを開いた。
「え?星夜くん!」
美鈴は驚いた顔をした。
「びっくりしたよっ!もお、ノックくらいしてよね」
そこにはいつもの美鈴が居た。
「どうしたの? 星夜くん、ボーッとしちゃって」
美鈴は心配そうな顔で俺を見た。
「ボーッとなんかしてねぇよ」
いつも通りにしないと
へんに動揺してたら
美鈴が気にする。