「せっかく美鈴ちゃんがアンタみたいなつまんない奴に手伸ばしてくれたんだから離しちゃダメよ」



姉貴は俺の頭の上に置いていた右手で頭をポンポンと軽く叩いた。


そして、言うだけ言って出て行った。




「…言われなくたって離れたりしねぇよ」



ボソッと独り言を言って
スエットから服に着替える。



「今から会いに行ったら驚くかな?」



笑う美鈴の顔を想像して
口元が緩む自分にキモいと思った。