――――ガシッ
「うっ!」
急に俺の首に太い腕が来た。
そこには親父が力いっぱい俺の首を締める。
その横にはお袋が微笑んでいた。
「お、やじ…まぢギブギブ!」
俺は親父の腕を叩いた。
「ちょっと来い」
親父とお袋はそのまま俺を
隣の部屋へと連れて行った。
――――バタン
ドアの閉まる音が部屋に響いた。
重い空気に誰も口を開かず沈黙が続く。
先に沈黙を破ったのは
親父だった。
「お前、いつからあの子と付き合ってんだ?」
「…昨日」
俺は肩小さく丸めて言った。
すると、親父がいきなり俺の肩を掴んで俺に叫んだ。
「でかしたっ!」
目を見開き今まで見たことのない笑顔で親父は言った。
そして、隣でお袋は、
「あんたみたいな腑抜けた子にあんな可愛い彼女が出来るなんて…人生っていろいろあるものね」
と、言って笑った。
俺はさっきのあまりにも重い空気から交際を反対されるのかと思ったのだが、親父は、
「確認だ確認。あまりにも可愛い子だからドッキリかと思ってな」
と、言われた。
そして、最後に。
「泣かせるなよ」
親父は俺にそう言うと、
二人は部屋から出ていった。