目をつぶろうとした瞬間

「大切なのは明日だよ」

頭の中で声が響いた。

…健吾?

健吾だ!

数少ない記憶の中から

思い出された。

病室の中には健吾もいた。
健吾は涙も流さず

ただただうつむいていた。
「樹里…」

健吾が私の名前を呼んだ。
その声に懐かしいという感情を抱いた。

1ヶ月前とかそんなんじゃない。

もっともっと前だ。

どこかで聞いたことある。
あっ…健吾。

健吾って…