生きていることが楽しいなどと感じる瞬間はあまりない。

殆どないと言ってもいい。
少年院に来る前の生活が人らしい生き方だと問われれば
きっとそんな事はないと思う。

何時死んでもいいという、むしろ何度も自殺未遂を繰り返し
死に損っていたのだから。

少年院ではいい子でいるように心がけた。

「神谷はいい子ちゃんやもんな」

よく担任の先生に言われた。

そう。
言われた通りにやっていて、周りが望んでいる更生への課題など
簡単だった。

此処まできて、同じ思考の侭で生きていけるなんて思ってない。

過去は消せないけれど、生まれ変わる様に生きていくしかない。


あたしはどの進級も落とすことなく、ストレートで進級し
長い長い閉ざされた10ヶ月という日々を終えた。