アドレス帳を開き、香織にコールした。もしかしたら仕事かも、そう思いあきらめようとした時、香織がペアボタンを押した。
「もしもし。」
「今平気？」
「うん、今日休みだったんだ。」
　それを聞いて安心した。四勤二休製の彼女の休みは不規則だったから。時にダイヤルをする時、当たり外れのルーレットを回すような感覚に襲われる時がある。
「どうしたの？何かあった？」
　そうやって誰かが自分に気を使ってくれることはいつもほっとする瞬間だった。私は話があると香織に言った、すると香織はいつものファミレスに１時間後に待ち合わせをしようと言った。
　私たちは時間通りに寄り集まった。先についていたのは香織のほうだった。電話では何度か話はしていたが実際会うのは久しぶりに感じた。
「どうしたの？話って、、。」
　香織はローズヒップティーを飲んでいた。何時見ても鮮やかで綺麗な色をする飲み物だと思い私は感心した。
「会ってきたの。彼に、、。」
「まさか、沖縄の？」
　私は声を出さずにこくりと頷いた。
「どうだったの？」
　香織はいつも結果を急かそうとする。だけど人をいやな気分にさせることは無い、それも彼女の才能なのか、私はたまにそう思うことがあった。
「いい人だったよ。」
「それだけ？」
　うん、、私はそう言った。