私は頷き、勇の仕事が速く終わることを持ちわびた。
勇はラジオのチューニングを合わせた87′3東京では見慣れない数字だった。ラジオからはリスナーからのリクエストの曲とエピソードが流れていた。
「ラジオなんて久しぶり、、。」
つい私は本音を漏らした
「家にはテレビがないからね、、。」
そういって勇は微笑んだ。
「もうすぐ水平線に太陽が沈むよ。」
私は勇の視線の先に自分の視線を合わせた。
「ここに横になっていいよ。」
そう言って勇は私をハンモックのすぐ横まで連れてきてくれた。私はそこに腰を下した。
周りの景色は少しずつ色付いていった。まるで夏の世を赤く染める花火が散る瞬間のように、水平線に近づくにつれ、太陽の色は色濃く真っ赤に染まっていった。
まるで赤熱したガラスのようだと私は思った。この大きな太陽も勇の魔法の手に掛かれば自由自在に姿を操ることが出来るんじゃないかという気がした。
「毎日同じ夕日に見えても、今日僕たちが見る夕日はもう二度と見ることが出来ないんだ、、。」
私はだまって頷いた。
美しい真っ赤な夕焼けはゆっくりと水平線に重なった。海に解け、その赤を海水に溶かすように夕日の赤は広がった、空を染め海を染め、砂浜を染め、私たちの頬を染めた。
こんなふうに静に沈み行く夕日をじっくりと眺めたのはいつい以来だったろう、いくら思い返しても、その記憶が蘇ってくることはなかった。もしかしたらそんなこと今までしたことが無かったのかもしれない。ふとそんな思いに駆られた。始めて見る完璧な夕日に、、。
その完璧な、夕日のパノラマは数分で終わりを迎えた。夕日が沈む時間がこんなに短い物だったなんて私はそれを知らずにいた。
それに気付いた時、何にも変わらず、終わりのないものはこの世には何一つと存在しないのかも知れないと私は思った。そして私は横になった。
この空をまっすぐに見つめたいと思ったから。
何時しか空に星が輝き出した。
勇はラジオのチューニングを合わせた87′3東京では見慣れない数字だった。ラジオからはリスナーからのリクエストの曲とエピソードが流れていた。
「ラジオなんて久しぶり、、。」
つい私は本音を漏らした
「家にはテレビがないからね、、。」
そういって勇は微笑んだ。
「もうすぐ水平線に太陽が沈むよ。」
私は勇の視線の先に自分の視線を合わせた。
「ここに横になっていいよ。」
そう言って勇は私をハンモックのすぐ横まで連れてきてくれた。私はそこに腰を下した。
周りの景色は少しずつ色付いていった。まるで夏の世を赤く染める花火が散る瞬間のように、水平線に近づくにつれ、太陽の色は色濃く真っ赤に染まっていった。
まるで赤熱したガラスのようだと私は思った。この大きな太陽も勇の魔法の手に掛かれば自由自在に姿を操ることが出来るんじゃないかという気がした。
「毎日同じ夕日に見えても、今日僕たちが見る夕日はもう二度と見ることが出来ないんだ、、。」
私はだまって頷いた。
美しい真っ赤な夕焼けはゆっくりと水平線に重なった。海に解け、その赤を海水に溶かすように夕日の赤は広がった、空を染め海を染め、砂浜を染め、私たちの頬を染めた。
こんなふうに静に沈み行く夕日をじっくりと眺めたのはいつい以来だったろう、いくら思い返しても、その記憶が蘇ってくることはなかった。もしかしたらそんなこと今までしたことが無かったのかもしれない。ふとそんな思いに駆られた。始めて見る完璧な夕日に、、。
その完璧な、夕日のパノラマは数分で終わりを迎えた。夕日が沈む時間がこんなに短い物だったなんて私はそれを知らずにいた。
それに気付いた時、何にも変わらず、終わりのないものはこの世には何一つと存在しないのかも知れないと私は思った。そして私は横になった。
この空をまっすぐに見つめたいと思ったから。
何時しか空に星が輝き出した。