いさむ「とりあえず、ここに僕の住んでいる住所を打ち込むよ。」
 勇はそういってログを打ち込んだ。私はすぐにそれをメモに写した。
香織 「ね、近くに泊まれる施設はある?どうせなら一週間くらいそっちに行っちゃおうかな。」
いさむ「そんなに?家のほうは大丈夫かい?」
香織 「家の方は問題ないわ。」
いさむ「そうか、もし美鈴ちゃんがいやじゃなければ僕の家に泊まればいいよ、アトリエと作業場をかねた狭い家だけどね、裏はすぐに海だから、暇になったら散歩にでも出ればいいよ。」
香織 「ほんと?いいの?裏が海なんて素敵。ってことは宿泊費が浮いちゃうってことね、ラッキー。」
 私はもう浮かれていた。沖縄にいけること、この綺麗な声の主に会えることに。
いさむ「そんなに喜んでもらえてうれしいよ。」
    だけどいさむは私ほど浮かれたはいなかった。
香織 「来週の水曜日会いに行く。」
いさむ「はやいな、かまわないけど、だけど僕はやらなければならない仕事があるから。僕が作業をしている間は美鈴ちゃん、暇しちゃうことになるかも知れないよ。平気かい?」
香織 「大丈夫、あっ勇君がガラスで何かを作るところ見たりしててもいい?」
いさむ「かまわないよ。」
香織 「楽しみ。」
 そこには不思議と不安は少しも存在しなかった。
 カレンダーを見ると日付は6月4日の日曜日だった。
香織 「来週の水曜日。」
 勇は向こう側で自分のスケジュールを確認しているようだった。
いさむ「わかった。だいたい何時ぐらいの便でくるつもりだい?」
香織 「私はチケットの時間を確かめた。519便、16;05発19;00着って書いてある。私の連絡先。」