「それはイヤ!」
「ごめん、悪いこといっちゃった?」
 私は横に首を振った。
「それより香織はさぁ、今の彼氏のどこを好きになったの?」
 香織はちょっと悩んだようだったけど、ちゃんとその質問に答えてくれた。
「性格かなぁ。やさしいとことかぁ・・・。」
 そんな確かじゃないことを?
 私は疑問に思った。だけど私は、その答えを香織に探究することなく質問を続けた。
「でも見た目もまぁまぁじゃん。結婚はする予定?」
 香織はちょっと照れたけど、いつかはしたいなと私に言った。
「美鈴はどこでで選ぶの?人を好きになるとき。」
 もう二度と人のことなんか好きにならないよって私は答えようとした。だけど私はそれを取り消して香織にこう言った。
「もしもこれから人を好きになるとしたら。その人の見た目で決めると思う顔とかスタイルとか、完全に見た目重視。」
 私たちは笑った。別にウケを狙って言った訳じゃなかったのだけど。
「どうして?性格悪かったらどうするの?」
「そんなの関係ないでしょ、だって見た目、顔とか体は生まれた時に持ち合わせた物でしょ、だから目で見えない人間の中身とか、性格なんかより、何て言うかもっと確かな物のような気がする。例えばこのコップの中身だって、今私が飲み干して、あそこのドリンクバーで何か違う物を入れたら、全然違う物になるでしょ?それと同じように人の中身なんて、一瞬で変われちゃうんだよ。気分とか状況しだいで。そんなもの信じられなくない?だから、もし私が誰かを良いなって思うときは、きっと見た目だけで判断すると思う。もし性格が悪かったとしてもそれはそれ。だって私は、その人の見た目が好きなだけなんだもん。ある意味アイドルを追いかけるオタクと一緒なのかも知れないけど。」
 アイドル、その言葉を口にして自分でちょっとドキッとした。
 香織はちょっと複雑な顔をして見せたけど、頷いてそれ以上この話を追求しようとはしなかった。
「もし何か私に協力できることがあったら言ってね。」