シンジ「香織ちゃん。こんど一緒にご飯食べない?好きなものご馳走するからさぁ。」
ハンドルネーム〝シンジ〟今では常連の一人だった。食品関係の大手企業で働いてると言う。それ以外の詳しいことは解らないが。対外の人間はとにかく自分の就業する会社に〝大手〟をつけたがる。シンジもそのなかの一人だった。
 彼は3日に一度必ず私のところにやってきた。他の常連と比べても比較的そのログイン回数は多い方だったし、アダルト的な無理な強要もしてくることは無かった。その点ではマナーの良い客。一言で言えば〝美味しい客〟そんな言葉が彼にぴったりあてはまった。
 たとえシンジのような相手でも。ログイン回数を増やすには?そしてそれを離さないためには?このところ、シンジはいつもリアルを求めてきた。一度ぐらい相手の要求を呑むことも必要?だけど、もし全てがばれてしまったら?
香織 「緊張するよ、、リアルで会うなんて、、。」
シンジ「平気だよ、、ご飯食べるだけだしさ、、。」
香織 「でも、、、。」
 だけど、乗りのいい人間だとも思われたくない。そして軽い女だとも。 
シンジ「お願い、、。僕は香織ちゃんと会ってお話してみたいんだ。」
 もちろん付け込まれるのはもっといやだった。
 間違った考えは今の私を映し出していた。
 なにが間違った選択かなんて解らない、どうやって判断すればいいのだろう、私はまた失敗を繰り返すのだろうか。
香織 「解った、、。」 
 私は複数のことを結び付けて考えることなく無意識にそう返事をしていた。 
シンジ「本当?うれしいよ、、。新宿あたりになら出てこれるかなぁ?」
香織 「新宿?うん平気、、。」
シンジ「じゃぁ、明日の夜7時に新宿の、ベタだけどアルタ前の広場とかでもいいかなぁ?」
香織 「わかった、、。」