「そういえば、れん。もう、松本家には帰らないの?」


私はれんの顔を覗きこみながら、たずねる。


「そうだね。たまには、帰ろうと思ってるけど、かなの家にいるよ」


「そっか。でも、私、家に居られないなんて、残念……」


れんの顔が暗くなる。


こんなこと、言っちゃダメだった。


れん、大丈夫かな?


「かな。俺はいつでも、家で待ってるから。絶対に、帰って来て」


「れん……。わかった! 私、がんばる!」


私は笑顔でそう言う。


れんの顔が明るくなった。


「ありがとう」

れんが言った。