ソファの前まで来た彼と目が合うと、

その蒼っぽい瞳に魅入られるように。


私はただ‥ぼーっとしていた。



それは何時間?何分?いや、何秒だったかもしれない。



ただただ‥ずっと見ていたかったんだ。




するといきなり

彼は私の頭の上の手を払い、繋いでいるコウくんの手を切って私を持ち上げた。


ふわりと体が宙に浮いたかと思ったら、彼にお姫様抱っこされてる状態に‥



え?

また私、頭がフリーズしてる。



「蒼?魅ちゃんが困ってるでしょ?」



いつもとは違う、低い声。でも生徒会長の声。


‥怒ってる?

‥何に?



海斗も颯斗も、寂しそうな‥でも恐い顔でこっちを見てるのに。


ふっとコウくんの方を見ると、

今にも泣き出してしまうんじゃないかって顔で私を見てる。

ううん。


きっと、『私達』を見てるんだ‥。



「こいつと2人で話がしたい」



やっと口を開いた蒼銀の彼は、私を抱えたまま階段を登っていく。



「蒼っ早まるなよ?」



そんな意味不明なセリフを、低く、響かせるように言った生徒会長を無視して。

彼は1番左の部屋へ。
私もろとも入って行った。



私、なんでこの人に抱っこされてるんだろ‥?