あったかい‥
心があったかいの。

それは、ドキドキし過ぎて体温が上がってるから?


「なんで‥あの、その」


なんだか上手く喋れなくって。


「ん?」


大きな手‥。私の頭を何度も撫でる。


「どういう、意味‥」

「まだわかんない?」


照れたように笑う先輩の顔。ヤバいくらいに心臓が跳ね上がってる。

ねえ、これってーー‥


「俺、あんたのこと好きだから」


「あ、あのっ‥その」


どうしよう。なんて言えば良いのかな?えと‥


「んと、初めて会った‥ばかりっ」


今日のお昼休みに会ったばかりなのに。


「先輩のことっ、よく知らなくて‥」


何も知らないから‥

すると先輩は、スッと立ち上がって背中を見せた。


「そう‥だよね。ごめんねっ」


振り向いたその笑顔は‥


「ゆっくり、考えてくれれば良いから」


悲しそうだった。そのまま前を向いて歩き出す。

胸が、キュッと苦しい。


「待ってっ」


咄嗟に掴んだワイシャツ。カクンとなった先輩は、また私の方を向いてくれた。


「‥くださいーー‥」

「ふっ、また敬語」


ほらやっぱり。
先輩が笑うと、トクンとあったかい。


「帰ろ?」


差し伸べられる手は大きくて。


「顔、真っ赤だよ」

「‥っ、だって」

「だって?」


ふわふわと流れる風。


「……きです」

「え?」

「私も、先輩のことが好きですっ」


私の、このドキドキを伝えて。


「え?うわっ」


ふわりと抱きしめられた身体。触れる先輩の胸は、堅くて苦しくて。


「嬉しいっ」

「せ、先輩?」


首筋に埋められた先輩の顔。息がくすぐったくて。


「好きだっ」

「きゃっ」


なんか変な感じがした。


「あ!」

「え、なんですかっ」


耳元でいきなり声を上げた所為で、身体がビクッと跳ね上がる。


「また裸足‥」

「あー」


足元を見れば、また靴下が汚れてた。


「ぷっ、あははは‥っ」

「あちゃ‥」

「また座って?」


そして先輩は、また同じように足を払って‥


「御足をどうぞ、お姫さま」


って、靴を履かせてくれたんです。