「この中で“ヒーローになれるから”などと甘っちょろい考えで志望した人間は、すぐに出ていけ。きっともたないから」
シーン……。
和気あいあいとしていた新人たちの表情が、一瞬で凍り付いた。
「これ、仕事だから。仕事を仕事として割り切れないヤツは、ウチの事務所にいらないから」
さらに体育館の空気が重くなる。
「まずお前らには、一ヶ月間みっちり稽古をしてもらう。その後採用出来るヤツだけ残ってもらうから。分かったか!?」
シーン……。
「返事はっ!!」
「ハッ、ハイッ!!」
皆、恐怖におののきながら、言葉を合わせた。
これが、僕のヒーローへの第一歩だった。