舞台役者をやっていた僕は、土日に出来るアルバイトを探していた。
「何か効率のいいバイトないかなぁ~」
そんな事を思いながら、アルバイト情報誌をペラペラとめくっていると、ふとあるキャッチコピーが目にとまった。
『アナタも、ヒーローになれる』
そんな広告が、普通に掲載されていた。
詳しく読んでみると、それはヒーローショーの人員募集だった。
仕事は土日のみ。条件も悪くない。
それになにより、子供の頃からの夢だった『正義の味方』に、ついになれるのだ。
僕は一にも二にも、その仕事にすぐ飛びついた。
20歳の春だった。