「ねぇ知ってる? 今日この場所から、花火が見えるんだって」 二人の無言の間を埋めるかの様に、島野は急に話題を変えた。 「へぇ。どこで知ったんだ? そんなの」 「さっき、事務所のオバちゃんが言ってた」 「ふーん……」 チリリリリリリン……。 その後の僕と島野は、会話が続かなかった。 どこか、たどたどしい。 何を意識してるのか分からない。 けど、お互い何かを意識している。 そんな感じだった。