チリリリリリリン……。チリリリリリリン……。
静かな夏の夜に、虫の音が聞こえてくる。
「これで全部……だな」
遊園地の事務所の洗濯機をお借りして、僕と島野は外で洗濯をしていた。
「あーあ。終わったね」
「そうだな」
ゴトン……、ゴトン……、と洗濯機の回る音が鳴り響く。
「はい」
島野は、僕に缶ビールを差し出した。
「お前……、こんなの見つかったら、先輩に怒られるぞ?」
「へへっ。いいじゃん。最後の夜なんだし」
「そうだな……。打ち上げだな」
プシッ。
僕は缶ビールのフタを開けた。
「お疲れっ!」
「おう。お疲れさん」
カン!
僕と島野はビール缶を合わせ、軽く乾杯をした。