「も、も、もうダメだぁ~っ!!」
楽屋に帰るしな、僕は床にブッ倒れた。
「お疲れ~」
先輩たちが、次々と楽屋に帰ってくる。
ハッ!! と気がついて、僕はすぐに立ち上がった。
「失礼します!!」
先輩のスーツのファスナーを下げて脱がせてあげるのは、僕ら新人の役目だった。
これを怠った者は、後でキツーイお説教を喰らう。
ヘタすりゃ、殴られかねない勢いだ。
「あとでまとめて、洗濯しておけよ」
スーツを脱いだ先輩たちが、次々と僕に衣装を渡す。
「ハイッ!!」
「夜行くんだぞ。分かったな?」
何故夜に行くかと言うと、ヒーローのスーツを洗濯している姿を、子供に見られちゃマズいからだ。
こんな所でも、子供たちの夢を守っているのだ。