リハーサルは、つつがなく終了した。



つつがなく……。と言う言葉には語弊があるか。




「バカ!」「違う!!」「やめちまえ!!」と先輩に、何度キレられた事か。




「はぁ……。はぁ……。はぁ……」



僕は息荒く楽屋に入ると、すぐにブッ倒れた。



1時間も屋根の無い炎天下の中、必死に大立ち回りをしたのだ。水分補給もなしに。



汗でビタビタになったTシャツを脱ぎ捨て、思いっきり絞ってみる。




ギューッ……



ボタボタボターーー!!!!!



汗が止めどなく、地面を流れた。



しばらくするとこれが、真っ白な“塩”に変わる。




いやぁ、恐ろしい。




「お疲れ。大丈夫?」




倒れている僕に、島野が話しかけてきた。





「大丈夫じゃねーよ……」




命からがら、僕は返事をした。




「何でお前、そんなに平気なんだ?」




「言ったじゃん。慣れてるって」




学生時代は体操選手だったと言う島野は、こういった練習に慣れているそうだ。



一方、演劇部と漫画研究会に所属だった僕は、この仕打ちにはかなり参っていた。