輝の後輩……
なーんて、信じた私が馬鹿だった。

こいつ、使えねぇ〜!

『どこから来て、どんな人なのか一切不明なんですよ』

輝の本名どころか、何も知らない。
ただ輝より後に店に入っただけの存在。

こんな事なら、咲耶がいる日に出直せばよかったよ。

『輝の話は、もういいから。 咲耶はいつ来るの?』

後輩くんの話を止め、辺りを見回して言う。
さっきからホストの顔ぶれは変わんないし、輝と張り合えるような奴はいないし。

正直、これがホストクラブってもんか。
って、拍子抜けした。

『あ、でも…… 咲耶さんに輝さんの話はタブーですよ』
『……は?』

なにそれ。
そんじゃ、来た意味ないじゃん。

咲耶くらいしか、輝に繋がるものないのに……

『僕もよく知らないんですけど、輝さんが辞める少し前に2人で言い合いしてたみたいで……』

少し声のトーンを下げて話す後輩くんの様子から、店内であまりしたくない話なんだ、と察した。

ネットの通り。
やっぱ、輝は咲耶と何かあったんだ。

【マジで、性格歪(ユガ)むような気がして】

そう言って、苦笑した輝。
あの輝が、あんな事を言うなんて……
よっぽどの事があったんだろうなぁ。

『……また出直すわ。 咲耶がいる時に』

でも残念。
私って好奇心旺盛なの。

隠し事されるの大嫌いなんだよね。

タブーだろうが、何だろうが。
知りたい事は知りたいのよ!