ビー……と機械的な音がして乾燥機が止まる。

中からは真っ白なシーツ。

よかった。
あの鼻血は、すっかり落ちたみたい。

『よかったな』

洗濯が終わるまで、ずっと座って待っていてくれた輝は、満面の笑みを見せて言う。

『ありがと……』

悔しいけど、輝のおかげだもん。
それは、ちゃんと認めなきゃ。

『お代は、綾香のキスでokよ?』

……前言撤回。

『馬っ鹿みたい!』

やっぱり輝は輝だよ!

『1時間10000円、2時間15000円。 3時間は……』
『な、なによ急に』
『それがキスで済むならお得でしょ?』

と、言うが早いか、軽くチュッと……
って!!
何すんのよ!?

『私は客じゃないっての!』
『客じゃないから、キスでいいんじゃん?』

い……意味不明……

『一応、彼氏いるんだけど』
『知ってるよ〜。 強姦魔』
『……』

自分のやってる事わかってないんだもん。
参っちゃうよ……

『怒ってばっかだと、すぐシワシワの婆さんになっちゃうよ?』
『誰のせいだと思ってんのよ!』

キッと輝を睨んだ私の目に、ヘラヘラと笑う輝。

『笑ってよ』

……え?

『俺、綾香の笑った顔が好きなんだ』

……なによコイツ。
彼氏いるって言ってんじゃん。

そーゆうのウザイし……
ドキドキする……

『ほら、笑ってよ』

私を掻き乱さないでよ。