♂GAME♀

名前当てゲーム。
輝は自信満々な笑みを浮かべて言った。

『俺の名前を当ててみなよ』
『……は？ 輝じゃないの？』

思わず、目が点。
もしかして輝って名前は……

『偽名…なの？』
『そっ Sweet Loverの人達は、ほとんど偽名を使ってる。 源氏名ってやつ』

今思えば、Sweet Loverのホームページを見た時、不自然な名前の人が多かった。

「輝」なんて、逆に珍しくて、本名かと思ってたし。

『だからたまに、こんなゲームやるんだよねー。 本名当てゲーム』

……つまり。
輝の本名を当てるゲームってわけ？

ってか、何で私がそんな面倒な事しなきゃいけないの？
輝の名前に興味ないっての。

『自慢じゃないけど。 今までに本名を当てられた事は一度もないよ、俺』

じゃあ、余計にやりたくないよ。

『俺の名前を綾香が当てたら、綾香の事は諦めてあげる』

輝の手が、髪を撫でる。
強引で、でも優しくて……
拒めないのは、何故？

『逆に、名前を捜す事を諦めたら…… 無理矢理にでも、綾香を手に入れるよ』

ゆらゆら、揺れる。
輝の言葉は、私を惑わす。

何だか、すごく恐い……

『強制参加だよ。 やめる時は、綾香が俺のものになる決意ができた時だけ』

どうして私なの？
輝の周り、いっぱい綺麗な人いるでしょう？

『何がしたいのか、意味わかんない。 私には智志が……』
『人の恋路(ｺｲｼﾞ)、邪魔するの好きなんだ』

……は？
邪魔!?

『さｯ 最低ｯ……』
『嘘だよ。 綾香の笑顔が見たいんだ』

わからない。
どっちが本音？

何でそんなに愛おしむような目をするの？

『綾香、いっつもカリカリしてる。 彼氏といる時も』
『そ、それは』
『初めて綾香の笑顔見た日。 ずっと笑っててほしいって思ったんだよ』

やめて。
喋らないで。

もう、そんな目で見ないで。
じゃないと、私……