馬鹿でガキで、お調子者。
本当に、ほんっとーに!

『大っ嫌い!!』

っなんだから!

『もー。 自分が負けたからって、そんな事言って……』
『マジうざいし』

輝の女になるとか冗談じゃない。
こんな勝負、無効だっつーの!

鞄から乱暴に鍵を取り出し、鍵穴に差し込む。
が、しかし乱暴すぎて穴に入らず下に落ちてしまった。

『あーあー。 慌てるから』

身を屈めて鍵を取る輝を、キッと睨みつけてやる。

今まで少し甘やかしてたかも。
もっと冷たい態度でいかなきゃ、こーゆう男は理解してくんないんだ、きっと。

『はい、鍵』

絶対にお礼なんて言ってやらないんだから。
と、思った瞬間だった。

輝が私からキスを奪っていったのは……

『ちょッ 何なのよ!?』
『んー。 勝者への賞品?ってやつ?』

しょ、賞品って〜…ッ

『もうッ ほんと嫌い!!』

最近、智志とキスしてないからか、輝のキスしか思い出せない。

そんな自分も嫌い。
大嫌いッ……

『だいいち、あんなの公平な勝負じゃないじゃん! 先に走り出してたくせに!』

フライングだよ、フライング。
これが何かの大会なら、失格なんだからね。

『んじゃ違う勝負にする?』
『だから〜』

勝負とかじゃなくて……
どっちにしろ、輝の女になるとか有り得ないんだから。

と言いたくても、言えない。
だってこいつ、常識が通じないんだもん。

どうせ何か言ったって、上手く丸め込まれる。
さっきのキスだって突然……

『じゃーねぇ。 名前当てゲーム』
『名前…当て?』
『そっ。 簡単で、ルールも単純なゲームだよ』

……なんじゃ、そりゃ。