仕事がない日は、こうして輝と同じ部屋で過ごす。

ベランダで話しながら、そのまま私の部屋になだれ込むようにお邪魔する輝。
お決まりのパターンだ。

他愛ない話をしたり、テレビを見たり。
体の繋がりはないけど、深く結ばれてるような気になる。

『オレンジジュースでいいよね?』

ソファーに座り雑誌を読む輝の前に、ドンとグラスを置く。
しかし、返事は帰ってこない。

『何を真剣に読んでんの?』

ってか女のファッション誌なんて、何が面白いんだろう。
参考にもならないだろうし。

『遊園地、行きたい?』
『は?』
『デートしよっか』

何を突然言い出すかと思ったら、雑誌の特集見てる。
「彼氏との初めてのデート」とか……

輝のやつ、可愛すぎなんだけど!

『それ、女子高生に聞いたアンケートだよ』

私よりかなり年下の子達の憧れデートプラン。
場所は、やっぱり遊園地が人気みたい。

『せっかく綾香と行きたかったのに、綾香は行きたくねーの?』

ヤバイ。
「綾香と」って、ツボにハマる。

口説かれてるみたいで、恥ずかしくなる。

『い、行きたい……です』

うん。
智志との付き合い方に慣れつつあったからなぁ。
何だか輝の一言一言に一喜一憂する自分がいる。

『んじゃ明日行こう』
『明日!?』
『明日、午後は指名入ってないんだ』

つか、急すぎ!!
いくら私が日雇いの仕事だからって、休みとは限らないんだからね。

いや……
休みだけどさ……

『ヤベー、めちゃくちゃ楽しみなんだけど』

そんな事言って、子供みたいに笑う輝。

あんたのそんな顔見たら、文句言えないじゃん。
卑怯者め……