『君は、輝の事をどう思ってるんだい?』

私が怪訝そうな顔をしてみても、咲耶はペースを乱さず話を続けた。

『どうって……』

正直、輝に対して何かを思った事はない……と思う。
ゲームが始まらなかったら、知ろうとも思わなかったし、ただの隣人で終わってた。

『僕は好きだよ』

フッと涼しげな笑顔に目を奪われる。

きっと輝も咲耶を好きだ。
だって「親友だ」って言ってたもの。

『好きなら、そういうのを親友って言うんじゃないの?』
『一般的には、きっとそう言うのかな』

一般的とか……
いまいちわかんないんですけど。

変化球はあんま好きじゃない。
ドーンと直球で来てくれなきゃ、伝わらないっつの。

もっとハッキリ言ってほしいんだよ。

『僕は、一般的とは違う形で、輝が好きなんだ』
『違う形……?』

それって、もしかして……

『輝を、本気で好きなんだよ』

もしかしてッ……
「愛してる」とかいう感情ですか!?

『お……男として、輝を好きって事!?』
『僕も男だからね。 輝を男性とも女性とも思った事はない』

んん?
いまいち意味が……

『ただ、輝を独占したいと……思ってしまった……』

なによ。
何なのよ。

何でそんな悲しい顔すんのよ。
私が、問い詰めてるみたいじゃない。

『女というだけで、君達が羨ましいよ』

私が、悪い事したような気になるじゃん。

『そんな事、私に言っちゃっていいの? 輝に話すかも知れないのに……』
『言ってもいいよ。 輝の気持ちは、もう知ってるんだから』

咲耶はそう言って、にっこりと笑う。
いつも見る不敵な笑みとは違う、子供のような笑顔。

咲耶は、輝の名前を知っている。
輝はきっと、咲耶の気持ちを知ってゲームをした。

そして、答えが見つかったんだ。

『どうして、ゲームの答えを輝に言わなかったの?』

輝は今も、名前を捜してる。
咲耶が言わなかったから……

『輝を、傷付けたくなかったから……かな』

輝の名前って一体……