◇紗楽side◇
もうすぐ遠足の季節だ。
どこに行くのかな…
テストも終わり、近いうちに遠足の班決めをするだろうと、どのクラスもそわそわしていたその日、それが行われた。
「はい、じゃあ今日のLHRは、遠足の班決めをします。決まったら帰って良いわよ。あ、でも、クラス委員報告よろしく。では、さようなら」
テキトーなバカ女がまたそそくさと帰って行ったのを見届けると、教室が騒がしくなり始めた。
どうしようかと、未だクラスに全く馴染めていない紗楽が悩んでいると、紗楽、と呼ぶ声が聞こえた。
振り向くと、何か腹をくくったような木下くんがいた。
ていうか、紗楽って言いました?
え?えぇぇ?
『木下君?何故に紗楽??』
「え?何?ダメなの?」
『あ、いや、そういう訳じゃ…』
「じゃあ、俺のことも隼人って呼ばないと委員の仕事全部やってもらうよ?」
俺様すぎるし!
じゃあとか、話繋がってないし!
呼ぶしかないし!
『は……はやと?』