ある日友達に言われた言葉。
『あんたって絶対、恋愛下手だょね』
何でそぅ思ったのか、わかんなかったあたしは、身近にいる男子。
瞬に相談してみた。
あたしの話を一通り聞いた後、瞬はあたしがびっくりする内容の言葉を発した。
「俺がお前に恋を教えてやる」
…はぁっ!?!?
「そぅだな…。まずは…キスでも教えとくか」
えっ!?っと思った時にはもう遅い。
あたしは壁に押しやられていた。
あたしの唇に瞬の唇が重なった。
あたしがこれをキスと理解するのに、あまり時間はかからなかった。
「〜〜っ!!」
あたしは声にならない言葉で瞬を怒っている。
背中をバシバシ叩くが、瞬はキスを止めようとしない。
それどころか、どんどん深くなっていく。
あたしは経験した事もない行為についていけず、壁に寄り掛かりながら崩れ落ちてしまった。
そのおかげで、瞬の唇からあたしは解放された。
「はぁっ…はぁ…」
酸素が足りず、肩で息をしているあたしを見下ろしながら、瞬はニヤリと笑い、こう言った。
「美波は教えがいがありそぅだな…」
そう言って、瞬はにっこり笑った。
そんな瞬に、不覚にもあたしはときめいてしまった。
って!!
なにときめいてんのょ!あたし!!
目の前にいる瞬は、たった今あたしのファーストキスを奪った、最低ヤロウ。
こんなやつにときめくなんて、あたしの心臓どぅにかしてるっ!!!
そぅ思い、あたしは自己嫌悪し始める。
「なぁに一人で百面相してんだょ!!!」
そぅ言って、ケラケラ笑う瞬はいつもの幼なじみの顔ではなくて。
一人の……男の人の顔だった。
不覚にも、またまたときめいてしまった。
「何ポケッとしてんだょ。ホラ、帰んぞ」
そう言って瞬はあたしの腕を掴み無理やり引っ張って歩き出してしまう。
あたしはさっきのキスの感触が忘れられず、ただただずっと、瞬に引っ張られて歩いただけだった。
どぉして瞬はあたしにキスしたの??
あたしに恋を教える??
もぅ!?なんなの・・・。
考えれば考えるほど分かんない!!
だって、いつもいじわるなあの瞬だよ!?
何か企んでるんだよ!!
絶対そうに違いない!!
だってあたしは・・・瞬に一度振られているし・・・
小さい頃から俺様だった瞬に
振り回されてばっかりだったあたし。
それでも、振り回した後に見せてくれる
とびきりの笑顔が大好きで。
あたしは瞬から離れられなくなっていた。
それが恋と自覚したのが中学1年の夏。
それとほぼ同時に、瞬の人気が学校で出始めた。
いや、元々人気だったのだが
あたしと瞬が付き合っている、とみんな誤解していたようで
遠慮して、騒げなかったとのことらしい。
そのまま誤解してくれてたらよかったのに…