男は、相変わらずイビキをかいている《育ての親》を起こさぬよう、そっと椅子を引いて座った。

 画面には新着メールあり、の文字。


 画面右下の時刻を見ると、夜中の1時過ぎだった。


 けれど、こんな時間にも何かの仕事が入ってくるからこそ、できるだけ早く気付けるようにパソコンの電源は入れっぱなしにしていた。


 実際には、こんな真夜中の方が仕事も入ってきやすい。


 特に、夏には。


 今度の仕事は金になるかならないか。

 舌をチロリと覗かせて、上唇をなめた。