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 梅雨の真っ最中よりも、梅雨明けの夜の方が寝苦しい。


 暗闇の中、隣で大イビキをかきながら寝ている《育ての親》に軽く舌打ちし、男はかたいベッドから起き上がった。


 窓がなく、クーラーもついていない部屋の中。

 唯一体温を下げるものといえば、扇風機の生ぬるい風だけ。

 そんな中、男は目がなれるのを待ってから冷蔵庫へと向かった。

 確か、熱を出したときに額を冷やす冷えピタがあったはずだ。

 思惑通り、冷蔵庫の中には余りの冷えピタが一枚だけ取り残されていた。