「父親がこの事件を担当してるんです」


 幸也と呼ばれたその青年は、義務的な口調で説明をはじめた。


「俺は、この事件の手伝うように頼まれました」


「手伝う……?」


 どう見ても10代後半の幸也の言葉に、由佳子はあからさまに疑いの目を向けた。

 これは殺人事件だ。ゲームではない。

 こんな若者に何ができる? そもそも、警察がそんなことを頼むとも思えない。


 その視線を直に受け止めながら

「事件自体はもちろん父親が動きます。俺は、事件の見えない部分の捜査を頼まれたんですよ。

だからそんなに心配しなくていい」

 と言った。