「言ってくれたら探したのに」 「もういいの。解約しちゃたし」 そもそも、携帯電話を持っていても、幸也たちの番号は知らない。 連絡を取る術はないのだ。 「そう。それよりさ……」 「うん?」 「こんな雨だし」 「うん」 「俺の家、来る?」 ……え!? その瞬間、幸也たちの事が再び頭から吹き飛んだ。 真っ白になった頭の中で、「うん」とだけは、ハッキリと返事をしたのだった――。