☆☆☆

 そして、今に至る。


 降り始めた雨は次第に強くなり、今ではフロントガラスを叩く雨音でクラシック音楽が聞こえなくなっていた。


 けれど、そんなことどうでもよかった。


 桜が満開の小道じゃなくてもいい。


 雲ひとつない晴天のもとじゃなくてもいい。


 素敵な音楽なんかなくてもいい。


 綺麗な赤ワインも(まだ飲めないけれど)いらない。


 洋画に出てくるようなダンスも踊れなくてもいい。


 むしろ、足を踏みつけられたって文句は言わない。