「ねえ、プールって近いの?」

「ああ。近くのスポーツセンターだからな」

「ちぇ。つまんないなあ」

「はあ?」

ずっとこうしていたいなあ…
私は紳君の背中に頬を付けた。紳君の背中は大きくて、逞しかった。

「おい。くすぐったいから止めてくれよ」

「聞こえない…」

「またそれかよ?」

そう言って、紳君は笑ったような気がした。

うふ。幸せだな…

なんて、干渉に浸る間もなく、キーっと鳴って自転車は止まってしまった。

「着いたから、降りろー」

「はーい」

本当に近かった。