玄関を出たら、「ちょっと待ってて」と言って、紳君は自転車を押して来た。

「自転車で行くの?」

「そうだよ。後ろに乗って?」

「うん」

私は紳君が自転車を跨ぐとすぐに、元気よく荷台に飛び乗った。好きな男の子と自転車に二人乗りって、実は憧れだったんだ…

「バッグを腕に通して、俺の腰にしっかり掴まって?」

「こう?」

私は紳君に言われた通りにして、両手を紳君のお腹に回してギュウッと抱き着いた。

「いや、そこまでしなくても…」

「え、なあに? 聞こえない…」

本当は聞こえたけど。

「ま、いいか。じゃあ、出発ー」

「おー!」