「あ、おはようございます。私は大丈夫ですから…」

「そう? 紳一ったら、朝早くからそわそわしちゃって…。よほど恵子ちゃんと泳ぐのが楽しみなのね?」

「え?」

「ち、違うよ。早く行かないと、プールが混むといけないから…」

「はいはい。そういう事にしておくわね」

「ちぇっ。行こうか?」

「うん」

「行ってらっしゃい」

綾乃さんは『バイバイ』と手を振り、紳君が背中を向けた拍子にガッツポーズをしたので、私も小さくガッツポーズを返した。