翌朝、私は約束の時間よりも少し早く篠原家に着いた。

それなのに、呼び鈴を鳴らしたら、いきなり紳君が出迎えてくれたのでびっくりした。

「お、おはようございます!」

「やあ。朝から元気だな?」

「げ、元気が取り柄だから…」

「ふっ。おまえ、面白いな」

笑われちゃった。でも、朝から紳君の笑顔が見られて、幸せだな…

「すぐ行けるか?」

「うん、行けるよ」

「ちょっと、紳一。来たばかりで、恵子ちゃんが可哀相でしょ?」

奥から綾乃さんが出て来て、そう言ってくれた。