あ。言われてみれば、その通りだった。

「紳一は、恵子ちゃんと帰るの、嫌がった?」

「いいえ、何も言いませんでした。そう言えば、私が水着から着替えるのを、待っててくれました!」

遊園地から帰る時、紳君に置いて行かれると思ったから、私は大急ぎで着替えたんだけど、男の子には敵わなくて、外に出た時には着替え終わった紳君が立っていた。

あれは、紳君が私を待っててくれたんだと、今気が付いた。

「でしょ?」

「嫌われてないと思って、いいんでしょうか?」

「いいと思うわよ。ただし…」

「ただし?」

「もう、怒らせないようにしないとね?」

「はーい」