『ただいまー』

私はリビングにいた綾乃さんに、紳君と声を合わせて帰りの挨拶をした。

自分の家に帰ろうかとも思ったけど、紳君と一緒に篠原家に帰って来た。

それは、綾乃さんの顔を見たかったから。というか、綾乃さんに慰めてほしかった、というのが本音だった。

「お帰りなさい。ずいぶん早かったのね。プールはどうだったの?」

綾乃さんはお昼前に帰って来た私達に、当然ながら驚いていた。

紳君は、綾乃さんにも無言のまま、さっさと階段を上がって行ってしまった。