『マズイなあ』と思っていたら、ちょうどおあつらえ向きに私の前方に親子連れが泳いでいるのが見えた。

その横を素早く通り過ぎるのは簡単だけど、わざと手こずったように見せ、泳ぐ速度を落とした。

そして紳君が私を抜き、体2つぐらい前に行ったところで親子をやり過ごし、必死に紳君を追い掛ける振りをした。

それはあくまで”振り”で、本気で泳ぐと抜いちゃうので、追い付かない程度に手加減をし、そのままゴール。

それこそ、”タッチの差”で紳君の勝ちだった。