私達はいったんプールの縦の縁まで泳ぎ、紳君が前方の人の様子を見ながら、『よーい、ドン』と掛け声を上げ、勝負がスタートした。

私は水中に体を沈め、プールの壁を両足で力強く蹴った。ターンの要領だ。

水中で1回水をかき、水面に顔を出した時にチラッと横を見ると、紳君より少し前に出てしまった。

その後、スイスイと泳いでいると、どんどん紳君との差が開いていった。

『手加減するなよ?』とは言われたものの、男の子って負けず嫌いよね?

まして女の子に負けたら、きっとプライドが傷つくと思う。