そうこうしている内に、玄関のドアを開閉する音がして、紳君がバイトから帰って来た。

そして、「ただいまー」と言ってリビングに顔を出した。

紳君は出掛ける時と帰った時、綾乃さんがいれば必ず一声掛けて行く。

親に挨拶するのは当たり前かもしれないけど、必ず実行するって偉いと思う。

紳君は無愛想だけど、性格はすごく良いんじゃないかと、最近私は思っている。

もちろん、そんな紳君への私の気持ちは、ますます強くなる一方だった。