ある日の夕方。

珍しく早く帰って来た優子と、リビングでお茶をいただいていた時だった。

「ねえねえ、コレ見て?」

綾乃さんがテーブルの上に、どこかのチケットらしきカラフルな紙片を並べて見せた。

私と優子が顔を寄せ合うようにそれを覗き込んで見ると、大きいプールがある事で有名な遊園地の入場チケットだった。

「わあ、コレどうしたの? お母さん」

「お父さんが仕事関係の方から戴いたそうよ」

「ふーん、お父さんはそんな話、全然してなかったけどなあ」

「そ、そう? 私に渡して忘れちゃったんじゃない?」

なぜか綾乃さんは、焦ったような表情をしていた。