「綾乃さんでも、ですか?」

「ええ。やっぱり女の子と男の子では違うのよね…。だからあまり大した事は出来ないけど、出来る限り協力するわね」

「はい、よろしくお願いします!」



階段をトントントンと駈け降りる音がした。優子かなと思ったら、紳君だった。

「お袋さん、行って来るよ」

紳君はリビングに顔を出し、綾乃さんへ向かって声を掛けた。

綾乃さんは「行ってらっしゃい」と言い、私も何か言おうかと思ったけど、紳君に冷たい目で見られて何も言葉が出ず、小さくお辞儀をするのが精一杯だった。

でも紳君は、『フン』という感じで私から目を逸らし、無言で行ってしまった。