紳君がゆっくり話したいって言うから、学校近くの公園に寄った。

そこは小さな名もない公園だけど、私が紳君にファーストキスを奪われ、『好きだよ』と言われた場所。たぶん一生忘れる事はないと思う。


「何か飲むか?」

と言って紳君が自販機へ行くから、私は紳君を追い越して、

「今日は私に奢らせて?」

と言った。

「え? いいのか?」

「うん、たまにはね。何がいい?」

「ん…アクエリ」

私は紳君に「はい」と言ってスポーツドリンクのペットを渡し、紳君の腕を取ってベンチに向かった。

「おまえ、自分のは?」

「いいの。紳君から少し貰えれば」

「ふーん」

これでまた紳君と間接キスができる。
ささやかな、私の楽しみだったりするんだ…